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弁護士ブログ

リモートワーク(在宅ワーク)と労災

2022年3月1日
名古屋丸の内本部事務所社労士 大内 直子

以前「在宅ワークでも労災は適用されるの?」との質問を受けたことがあります。答えは「適用されます。」となります。
​ ただ、労働基準監督署に在宅ワーク中の負傷・疾病を労災と認めてもらうには、起きてしまった負傷や疾病が「業務」によるものだ(業務起因性あり)と認めてもらわなければなりませんが、この判断は事業所で発生した労災の場合より難しいところかと思います。

​​ たとえばリモートワーク(在宅ワーク)による長時間の過重業務で疲労が蓄積した結果、身体や精神に支障をきたしてしまった・・・という場合はどうでしょうか?
​ このケースでは、まずは労働時間が長かったことが証明されなければなりません。
​ 事業所に出勤していて同様のことが起きた場合は、出退勤の記録や同僚・上司の証言など客観的資料に基づき労働時間を把握して判断することが一般的です。
​ ところが在宅ワークの場合、出退勤の記録がなく、そもそも労働時間の判断が困難なケースが考えられますし、たとえ勤務時間が記録されていたとしても、自己申告による出退勤の時間と使用PCのログ(客観的に証明できる可能性のあるもの)に乖離が生じていたりすると、申告された労働時間を信じていいのか?との疑義が生じます。その他、在宅ワークの場合、自宅における私的行為と業務の線引きが曖昧となることから考えても、記録されたすべての時間を労働時間と考えてよいのか疑問です。

​​ このように、様々な状況を客観的に証明することが難しいリモートワーク(在宅ワーク)の場合、通常の事業所での労災以上に業務起因性を判断することが難しくなることが予想されます。従って、就業環境の整備や労働時間の管理などは、会社任せにするのではなく、自身でもしっかりと行っておくことが大切です。また日ごろからリモートワーク(在宅ワーク)中の私的行為と業務にメリハリをつけるよう心掛けることで、問題が生じた場合でも「業務」を行っていた際の事故(負傷・疾病)だと、自信をもって主張することができるかもしれません。

交通事故で労災保険は使った方が良い?使うと会社に迷惑掛からない?

2022年2月7日
春日井事務所弁護士 深尾 至

 業務中に、あるいは通勤途中に交通事故の被害に遭ってお怪我をした場合には、労災保険を使用することができます。
 ​​労災保険には、休業特別支給金や障害特別支給金といった、受給しても損益相殺されない(=交通事故の加害者から支払われる賠償金は減らない)支給がありますので、これを使用することは交通事故の被害者にとって利点が大きいです。その他、労災保険を使用することは被害者にとっていくつかの利点がありますので、私は、労災保険を使用することができる場合には、その使用をお勧めすることが多いです。
​  労災保険を使用することを考えているが、会社に迷惑を掛けるのではないかと、その使用を躊躇している方もいるかもしれません。
​  労災保険を使用すると、会社が負担する労災保険料が上がる可能性がありますが、労災保険料が上がる可能性があるのは、会社が労災保険料の変動制(「メリット制」といいます。)の適用を受けている場合に、業務災害により労災保険を使用する場合に限られます。
​  したがって、通勤途中(通勤災害)の交通事故のケースでは、労災保険を使用しても労災保険料は上がりません。また、会社の労働者数や職種によっては、メリット制の適用を受けませんので、業務中(業務災害)の交通事故のケースでも、労災保険を使用しても労災保険料が上がらないこともあります。
​  いずれにせよ、労災保険に加入することは会社の義務であり、会社に迷惑を掛けるのではないかと、その使用を躊躇する必要はありません。判断に迷ったり、会社が労災保険の使用に協力的でないような場合には、弁護士や社会保険労務士にご相談いただくと良いでしょう。

労災と健康保険の費用調整

2021年12月28日
名古屋丸の内本部事務所社労士 小木曽 裕子

健康保険を使用して治療を受けた後に、労災保険へ切り替える場合、原則として、健康保険にて負担された7割部分の治療費を健康保険へ返納し、その後に労災保険へ請求する必要があります。
労災認定された場合には、健康保険へ返納した7割分の治療費は、労災保険より支給されることとなりますが、特に大きなケガをされた場合や、通院期間が長いような場合には、7割の治療費を返納することは困難です。
このような負担を回避する方法として、労災認定された傷病等について、労災と健康保険の間で、直接治療費の調整を行う制度があります。
この制度については、厚生労働省労働基準局より出されている平成29年2月1日基補発0201第1号に記載されており、こちらの通達によりますと、制度利用条件として下記が挙げられております。

・労災認定された傷病等であること
・健康保険へ返還する金額相当分の労災保険給付受領につき、健康保険へ委任する旨の申し出があること
・健康保険等の返還通知書等を添えて労災請求を行うこと

上記のような条件となっておりますので、この制度を利用する労災請求手順としては、下記が考えられます。

1.自己負担をした3割部分の治療費(健康保険の自己負担部分)につき、労災請求を行う
2.労災認定されたら、管轄監督署へ、健康保険負担された7割分の治療費の支払い先として、健康保険の口座を指定することを連絡し、同意書(下記URL添付資料参照)を提出する
3.健康保険から返還通知書が届いたら、この返還通知書と委任状を添付のうえ、療養の費用請求書(様式第16号の5)を管轄監督署へ提出

hoken42-2.pdf (kokuho.or.jp)

いずれ戻ってくる費用であっても、先にその費用を支払うことは負担だと思います。そのような場合は、こちらの費用調整制度の活用をご検討下さい。​​

治癒(症状固定)

2021年11月30日
名古屋丸の内本部事務所社労士 大内 直子

 労災による傷病で療養(補償)給付を受けていた方が、その傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態を、労災保険では「治癒(症状固定)」と呼びます。一般的に「治癒」というと、傷病が治り、事故前の状態に戻ったことをイメージするかもしれませんが、ここでいう治癒(症状固定)は、必ずしも以前の健康な状態に戻ること意味するのではないため、医学の知識がない私たち素人には、その判断は分かりづらい場合もあります。自身の「治った」との感覚とかけ離れた場合もあり得るかもしれません。

 ​​ しかし「治癒(症状固定)」の判断は労災請求において非常に重要で、後のいくつかの事柄に影響を与えます。例えば・・・①治癒(症状固定)が認められると、通常これまで受けていた療養(補償)給付や休業(補償)給を受けることができなくなる。〔治癒(症状固定)=治療終了であり、療養も休業も必要なくなると考えられるから。〕②症状固定時に後遺障害が認められた場合には障害(補償)給付を受給できる可能性がある。(なお障害(補償)給付の請求時効は治癒(症状固定)日の翌日から5年である。)などが挙げられます。

 ​​ 治癒(症状固定)は医学的根拠に基づき医師が決定することになりますが、症状固定の適切な判断のためには被災者の協力が不可欠です。日頃から主治医に自身の症状をしっかりと伝え、症状固定が後の給付や請求にも影響があることを頭の片隅に置きながら治療に専念頂ければと思います。


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腰痛と安全配慮義務

2021年11月1日
春日井事務所弁護士 深尾 至

 重量物を取り扱う職場等においては、腰部に負担のかかる作業に従事することによって、腰痛が生じるおそれがあります。
 ​ こうした職場等において腰痛が生じるのを防ぐための指針として、「職場における腰痛予防対策の推進について」との通達(平成25年6月18日基発第547号)が厚生労働省から発せられています。
 ​ 安全配慮義務の内容は、職務の性質や労働者の状態等の具体的状況に応じて判断されるものでありますが、この通達は、行政的な取締規定に関連するものではあるものの、安全配慮義務の内容を考えるうえで参考となるものと思われます。
 ​ 裁判例においても、この通達の前身である通達に関し、その内容や目的に鑑みれば、使用者の労働者に対する安全配慮義務の内容を考える際の基準となると判示したものがあります(那覇地裁沖縄支部平成18年4月20日判決労判921号75頁)。


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