労働災害で、従業員が死亡・休業した場合、事業主は労働基準監督署に「労働者死傷病報告」の提出をしなければなりません。「労働者死傷病報告」を故意に提出しない、提出しても報告の内容が嘘であることは、「労災かくし」と言われ、50万円以下の罰金に処せられます。
労災かくしは法律違反ということです。
元請業者、下請業者、孫請業者等混在する建設現場において労働災害が発生した場合、下請業者や孫請業者の労働者が被災した場合であっても、元請業者の労災保険を使うことになります。下請業者は、労災事故が元請業者に知られると今後の仕事の受注に影響がでるかも等考えて、元請業者に労災事故を報告することもなく、労働者死傷病報告を出すこともなく、そのまま労災事故を隠すわけです。被災労働者に対しては、健康保険を使わせ、従業員が自己負担した分については、会社が後日支払うなどしてしまうのかもしれません。
労災かくし
労災かくしは法律違反
こういった労災かくしは、犯罪行為であってすぐにやめなければいけません。被災した労働者の立場からみると、治療費だけをみれば問題ないように見えますが、本当にそうでしょうか。
従業員が、業務上の災害により、その療養のために休業する期間及びその後30日間は解雇制限といって、会社は打切補償を支払わないと解雇することができません。労災保険が適用されることで従業員としての身分が守られるので安心して治療に専念できます。
また、業務災害によって体に障害が残ってしまった場合はどうでしょう。労災保険の障害等級に該当すれば障害補償年金が受給できる可能性があるけど、この放棄につながりかねません。
結局、労災かくしで一番の被害者は、被災労働者になるのかもしれません。労働災害が発生したら、まず被災した労働者の病院での治療を行い、適切な労災保険の手続きをしていくことが大切です。
勤務中の怪我にもかかわらず労災保険の手続きを行わない、健康保険の話を持ち出したら要注意です。勤務中や通勤途中の怪我には、健康保険は使えません。速やかに、当事務所にご相談ください。