仕事中での負傷や疾病にかかった労働者が、労災指定病院、労災指定医療等で受ける診察や治療は、労災保険の療養補償給付に該当します。療養補償給付は、お医者さんの治療といった現物給付というわけです。健康保険のように病院窓口で負担する医療費の原則3割負担はありません。
ところが、業務災害であるけれど、労災指定病院等でない病院で診察等必要な治療を受けると、診察を受けた病院は医療費の10割をまずは支払うことになります。(業務災害なので3割負担の健康保険は使えません。)
その上で、療養補償給付たる療養の費用請求書(第7号様式)に医師の証明を受けて作成をし、その請求書とともに、その時に支払った領収書を添付して、直接、労働基準監督署へ提出する流れになります。その後、請求書に記載した振込先に立て替え分の治療費が振り込まれます。
業務災害による治療を、労災指定病院もしくは労災指定病院以外の病院のどちらで受けても、治療費の支払額につき、結果としては同じになりますが、手間がかかります。
業務災害はいつ起こるともわからず、業務災害時の状況によっては、やむを得ず労災指定病院以外での治療を受けることもありますが、労災保険を使う場合は労災指定病院で治療を受けたほうがあとあと楽です。
最初の治療では労災指定病院以外で治療をしたが、その後労災指定病院に転院することもできます。その場合には、転院した労災指定病院に対して、療養補償給付たる療養の給付請求書(第5号様式)を提出することになります。
また、労災指定病院から別の労災指定病院に転院することもでき、その場合には、療養補償給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届(第6号様式)を転院先の病院に提出すればOKです。
その他にも、労災保険を使うべきところ健康保険を使ってしまったなどの手続きもありがちです。
労災保険について何かお困りごとがございましたら、ご相談ください。
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労災指定病院と労災指定病院でない病院
2019年9月13日 社会保険労務士 原田 聡