こんにちは、弁護士 加藤耕輔です。今回は、労働災害が起こった場合に、企業の責任となる問題についてお話させていただきます。労働災害が起きた場合には、大きく、⑴行政上の責任、⑵刑事上の責任、⑶民事上の責任、⑷社会的責任の4つが問題となります。
まず、⑴行政上の責任ですが、労災が起きた場合、労働基準監督書により、労働安全のルールを定めた労働者安全衛生法、その細目である同規則等の労働安全関係法規の違反の有無に関する調査が行われます。
調査の過程で、労基署は、事業者、労働者等に対して必要な事項を報告させ、または出頭を命じることができるとされています(安衛法100条ほか)。その調査により、労働者安全衛生法や同規則の違反が認められれば、厚生労働大臣、都道府県労働局長または労働基準監督長が関係規定に沿って、事業者等に対して、関係業務計画変更や差止命令などの命令を下すことができるとされています。次に⑵刑事責任ですが、まず刑法上の「業務上過失致死傷罪」の成否が問題となります。
それ以外にも、前述の労働安全衛生法違反の調査の結果、同法の違反がある場合には、行政上の指導・命令にとどまらず、各規定の定める刑事責任を問われることがあります。
労働者安全衛生法は、最高で7年以下の懲役から、300万円の罰金まで、各義務の内容に応じて罰則を定めています(同法115条の2以下)。⑶民事上の責任、⑷社会的責任については、次回以降で書きたいと思います。
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2019年11月11日 弁護士 加藤 耕輔