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弁護士ブログ

過労自殺の業務上外認定

2019年12月12日
弁護士 深尾 至

弁護士の深尾至と申します。前回は、過労死の業務上外認定についてお話いたしましたが,今回は,過労自殺の業務上外認定について触れていきます。

過労が原因でうつ病を発症し,自殺に至った場合には,過重労働によって過労死が発生した場合と同様に、ご遺族としては、過労自殺が業務上発生したと認められる限り,労災法の各種給付を受けることができます(なお,従前,自殺が故意に死亡することであることから,一律に労災法の各種給付の対象外となるのではないかとの議論がありましたが,現在は克服された議論といえます。)。

過労死の業務上外認定については、「心理的負荷による精神障害の認定基準について」との行政通達があり、この通達に従って過労自殺が業務上発生したかどうかが判断されます。

通達は、①所定の疾病を発症していること,②所定の疾病の発病前概ね6か月間に,業務による強い心理的負荷が認められること、③業務以外の心理的負荷及び個体的要因により所定の疾病を発症したとは認められないこと,との3要件を満たす場合には,業務上認定するものとしています。

そのうち,②については,所定の疾病の発病前概ね6か月間に、所定の疾病の発病に関与したと考えられる業務によるどのような出来事があり、また、その後の状況がどのようなものであったのかを具体的に把握し、それらによる心理的負荷の強度はどの程度であるかについて、別途定められた「業務による心理的負荷評価表」に基づいて評価されることとなります。

過労自殺が業務上認定されなかった場合には、ご遺族としては、行政訴訟をもって不支給処分の取消を求めることが考えられることは,過労死の場合と同様です。裁判例において、行政通達は裁判所を拘束するものではないとして、通達の基準に必ずしも該当しない場合にも、業務上認定をする例がみられる点も,過労死の場合と同様です。

過労死の業務上外認定

2019年12月2日
弁護士 深尾 至

弁護士の深尾至と申します。今回は、過労死の業務上外認定についてお話いたします。

過重労働によって過労死が発生した場合には、ご遺族としては、労基署に労災申請をして各種給付等を求めることが考えられ、労災申請の結果、過労死が業務上(「業務上」の概念簡易な説明として、原田社会保険労務士執筆の記事をご参照ください。)発生したと認められる場合には、労災法の各種給付を受けることができます。

過労死の業務上外認定については、「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」との行政通達があり、労基署は基本的にこの通達に従って過労死が業務上発生したかどうかを判断します。

通達は、著しい疲労の蓄積をもたらす過重労働により発症した脳・心臓疾患について、業務上認定するものとしています。

そして、著しい疲労の蓄積をもたらす過重労働といえるかどうかの判断に際し、「発症前1~6か月間にわたって、1か月あたりおおむね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まる」、「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2~6か月間にわたって、1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働がある場合には、業務と発症との関連性が強い」と評価できることを踏まえるものとし、上記の判断に際しての労働時間の評価の目安を示しています。

過労死が業務上認定されなかった場合には、ご遺族としては、行政訴訟をもって不支給処分の取消を求めることが考えられますが、裁判例においては、上記通達は裁判所を拘束するものではないとして、上記通達の基準に必ずしも該当しない場合にも、過労死の業務上認定をする例もみられます。

少なくとも企業としては、上記通達の労働時間の評価の目安を踏まえた従業員の労務管理が必須といえるでしょう。

労働災害が起こった場合の企業の責任 その2

2019年11月18日
弁護士 加藤 耕輔

先に、労災事故が起きた場合の、行政上の責任・刑事上の責任について記述させていただきました(「労働災害が起こった場合の企業の責任その1参照」)。
今回は、⑶民事上の責任について、記述したいと思います。⑶民事上の責任は、簡単にいえば、労災事故により被災者に生じた損害を賠償する責任です。
判例上、被災者が、個別の安全配慮義務の特定、使用者の故意・過失の主張立証する責任があるとされています(最二小判昭和56年2月16日)。
したがって、被災者の側で、会社に安全配慮義務違反があったこと、および故意過失を主張立証しない限り、全損害の賠償は受けられないこととなります(もっとも義務違反の事実があれば過失は認定されることが多いとは思いますが)。

しかしながら、会社の故意過失を証明することは一定の困難が伴いますし、労災事故後、治療費などを、一旦、被災者がすべて立替えなければならないというのは現実には無理があります。
そこで、被災者保護のため、特別法として、労働基準法は「第8章 災害補償」において労災補償制度を設けて、会社の故意過失に関係なく、会社に対して一定の補償責任を課しています。 

ですが、労基法上の補償制度だけでは、会社に支払能力ない場合には、被災者補償が果たされない事態が生じ得ます。
そこで、政府が保険制度として運営し、使用者は義務としてこれに加入し保険料を納め、労災を被った労働者がこの保険によって補償を受けられるようにして、労基法上の業務上補償制度の限界を補う労災法に基づく労災保険制度が設けられています。もっとも、前記の①労基法上の業務上補償制度や②労災法上の労災保険制度では、療養補償を除き、実際に被った全損害ではなく、賠償額が定額化されており、また精神的損害(慰謝料)については、補償されないため、会社に安全配慮義務違反があり、同違反につき故意過失がある場合には、別途前記の民事上の賠償責任を求めていくこととなります。


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労働災害が起こった場合の企業の責任 その1

2019年11月11日
弁護士 加藤 耕輔

こんにちは、弁護士 加藤耕輔です。今回は、労働災害が起こった場合に、企業の責任となる問題についてお話させていただきます。労働災害が起きた場合には、大きく、⑴行政上の責任、⑵刑事上の責任、⑶民事上の責任、⑷社会的責任の4つが問題となります。

まず、⑴行政上の責任ですが、労災が起きた場合、労働基準監督書により、労働安全のルールを定めた労働者安全衛生法、その細目である同規則等の労働安全関係法規の違反の有無に関する調査が行われます。
調査の過程で、労基署は、事業者、労働者等に対して必要な事項を報告させ、または出頭を命じることができるとされています(安衛法100条ほか)。その調査により、労働者安全衛生法や同規則の違反が認められれば、厚生労働大臣、都道府県労働局長または労働基準監督長が関係規定に沿って、事業者等に対して、関係業務計画変更や差止命令などの命令を下すことができるとされています。次に⑵刑事責任ですが、まず刑法上の「業務上過失致死傷罪」の成否が問題となります。
それ以外にも、前述の労働安全衛生法違反の調査の結果、同法の違反がある場合には、行政上の指導・命令にとどまらず、各規定の定める刑事責任を問われることがあります。
労働者安全衛生法は、最高で7年以下の懲役から、300万円の罰金まで、各義務の内容に応じて罰則を定めています(同法115条の2以下)。⑶民事上の責任、⑷社会的責任については、次回以降で書きたいと思います。


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労災指定病院と労災指定病院でない病院

2019年9月13日
社会保険労務士 原田 聡

仕事中での負傷や疾病にかかった労働者が、労災指定病院、労災指定医療等で受ける診察や治療は、労災保険の療養補償給付に該当します。療養補償給付は、お医者さんの治療といった現物給付というわけです。健康保険のように病院窓口で負担する医療費の原則3割負担はありません。

ところが、業務災害であるけれど、労災指定病院等でない病院で診察等必要な治療を受けると、診察を受けた病院は医療費の10割をまずは支払うことになります。(業務災害なので3割負担の健康保険は使えません。)

​​その上で、療養補償給付たる療養の費用請求書(第7号様式)に医師の証明を受けて作成をし、その請求書とともに、その時に支払った領収書を添付して、直接、労働基準監督署へ提出する流れになります。その後、請求書に記載した振込先に立て替え分の治療費が振り込まれます。

業務災害による治療を、労災指定病院もしくは労災指定病院以外の病院のどちらで受けても、治療費の支払額につき、結果としては同じになりますが、手間がかかります。

業務災害はいつ起こるともわからず、業務災害時の状況によっては、やむを得ず労災指定病院以外での治療を受けることもありますが、労災保険を使う場合は労災指定病院で治療を受けたほうがあとあと楽です。

最初の治療では労災指定病院以外で治療をしたが、その後労災指定病院に転院することもできます。その場合には、転院した労災指定病院に対して、療養補償給付たる療養の給付請求書(第5号様式)を提出することになります。

​​また、労災指定病院から別の労災指定病院に転院することもでき、その場合には、療養補償給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届(第6号様式)を転院先の病院に提出すればOKです。

その他にも、労災保険を使うべきところ健康保険を使ってしまったなどの手続きもありがちです。
労災保険について何かお困りごとがございましたら、ご相談ください。


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