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弁護士ブログ

労災保険給付の控除について

2020年2月21日
愛知総合法律事務所 津島事務所 弁護士 加藤 耕輔

前回のブログで,「労災保険給付として受け取った分を民事上の損害賠償請求権から控除する際の方法はやや特殊です」と述べました。

 労災保険給付の民事上の損害賠償請求権への充当については,下記の最高裁判所の判例があります。

 <最判昭和62年7月10日判決>

「労災保険法又は厚生年金保険法に基づく保険給付の原因となる事故が被用者の行為により惹起され,右被用者及びその使用者が右行為によって生じた損害につき賠償責任を負う場合において,政府が被害者に対し労災保険法又は厚生年金保険法に基づく保険給付をしたときは,被害者が被用者及び使用者に対して取得した各損害賠償請求権は,右保険給付と同一の事由については損害の塡補がされたものとして,その給付の価額の限度において減縮するものと解されるところ,右にいう保険給付と損害賠償とが『同一の事由』の関係にあるとは,保険給付の趣旨目的と民事上の損害賠償のそれとが一致すること,すなわち,保険給付の対象となる損害とが同性質であり,保険給付と損害賠償とが相互補完性を有する関係にあるものと解すべきであって,単に同一の事故から生じた損害であることをいうものではない。
そして,民事上の損害賠償の対象となる損害のうち,労災保険法による休業補償給付及び傷病補償年金並びに厚生年金保険法による障害年金が対象とする損害と同性質であり,したがって,その間で前示の同一の事由の関係にあることを肯定することができるのは,財産的損害のうちの消極損害(いわゆる逸失利益)のみであって,財産的損害のうちの積極損害(入院雑費・付添看護費はこれに含まれる)及び精神的損害(慰謝料)は右の保険給付が対象とする損害とは同性質であるとはいえないものというべきである。
したがって,右の保険給付が現に認定された消極損害を上回るとしても,当該超過分を財産的損害のうちの積極損害や精神的損害(慰謝料)を塡補するものとして,右給付額をこれらとの関係で控除することは許されないと言うべきである。」

労災保険法の保険給付の対象となる事故が発生し,保険給付がされたとき,会社はその限度で被災者に対する損害賠償責任を免れますが,それは民事損害賠償と保険給付の二重塡補を排除するためであるので,単純に,保険給付の金額の限度で損害賠償責任が減縮するというものではなく,保険給付と『同一の事由』(・・労災保険法十二条の四・・)の関係にあるものと認められる損害賠償責任のみが減縮されるものとされるのです。

 具体的な計算方法や過失相殺との関係については,別の投稿で紹介します。

労災保険と民事上の損害賠償請求の関係

2020年2月14日
弁護士 加藤 耕輔

 一般の方で,労災保険と民事上の損害賠償請求の関係について,そこまで理解している方は少ないかもしれません。

労災保険と民事賠償請求は,我が国では併存主義(どちらも請求しうる)が採用されています。今回は,その差についてなるべく平易に説明してみたいと思います。

⑴ 会社の帰責性について

労災保険の請求には,会社側の帰責性は必要ありません。

一方,民事上の損害賠償請求には,会社側の帰責性(不法行為における故意過失や,安全配慮義務違反)が必要です。

⑵ 支払いが認められる範囲について

労災保険では,労災保険法に規程される各種給付がなされますが,民事上の損害賠償請求では求めることができる精神的損害(慰謝料)について補填を受けることはできません。

また,労災給付では休業補償も欠勤等により生じた損害の全てが補填されるわけではありません(大まかにいえば6割の補填です)。

全ての損害を求めるのであれば民事上の損害賠償請求を行う必要があることになります。

⑶ 過失相殺

  労災保険では,被災者の過失は考慮されません。

一方,民事上の損害賠償請求では被災者側にも労災事故の発生に対する過失があれば,過失相殺が行われます。

  過失相殺とは,損害額から被災者側の過失割合を控除する処理をいいます。

たとえば,損害額合計が1000万円であった場合に,被災者側に5割の過失があれば,被災者が会社に請求できる範囲は,半分の500万円ということとなります(厳密には労災給付金を既に受け取っているので,給付分の控除が必要となります。控除の仕方はやや特殊ですので,また,別の記事で説明したいと思います。)

 以上が,労災保険と民事上の損害賠償の大まかな差異となります。

 ご理解いただけたでしょうか。

 昨今,企業に厳しい安全配慮義務などの判例理論や労働側の運動の影響もあり,被災者やその遺族から企業に対する損害賠償請求が認められることが増えているとも言われています。労災給付にとどまらず民事上の損害賠償請求ができるか否かは,事故態様を中心とした細かな事実の確認が必要となります。

 素朴な疑問からでも構いませんので,是非,弊所にご相談いただければと思います。

新型肺炎(新型コロナウィルス)と労災

2020年2月4日
社会保険労務士 原田 聡

中国から世界へ新型肺炎(新型コロナウィルス)が広がりを見せています。日本でも1月29日、厚生労働省から新型肺炎に感染していたバス運転手に同乗していた女性のバスガイドからも新型肺炎に感染したと発表がありました。

さて、この女性バスガイドに労災保険は適用されるのでしょうか。

労災保険は、業務中や通勤途中でのケガや病気等に対して、病院での診察や治療(療養補償給付)であったり、そのために休業した場合の休業補償給付等がありますが、労災保険の対象となる「業務中」の病気であるといえるためには、その病気が業務に起因していることと業務の遂行性が認められなければなりません。

新型肺炎は人から人への感染があるとされていて、報道されている内容から考えると、業務の起因性が認められる可能性が高いと感じます。

今後、国内でもさらなる新型肺炎の感染が広がると、それは業務と関係のあるものかどうかの判断が難しくなることもあるかもしれません。同じ会社員が新型肺炎に感染した場合、一方は労災保険の適用で、一方は健康保険の適用となる場合があるのかもしれません。

一日も早く、新型肺炎が鎮静化されればと思います。

労災保険についてご相談等お気軽にご連絡ください。

労災保険と年金

2020年1月7日
社会保険労務士 原田 聡


労災保険では、勤務中や通勤途中でのケガ等で、体に一定の障害が残り、それが障害等級に該当すると、その障害の程度に応じて、障害(補償)給付が支給されます。また、業務中に業務が原因で死亡した場合、対象の遺族は、遺族(補償)給付が支給されます。

このように労災保険では、障害や死亡を支給事由とした保険給付がありますが、厚生年金でも同じように障害や死亡を支給事由として、障害厚生年金や遺族厚生年金があります。

さて、労災保険と厚生年金の支給事由にどちらも該当した場合、どちらからも支給されるのでしょうか。

厚生年金については全額支給がされますが、労災保険のほうは調整されてしまうので、全額を受け取ることができないのです。減額されるといっても、調整される前の労災保険の額よりは高くなりますのでご安心ください。

具体的な調整例についてですが、障害厚生年金(厚生年金)、障害基礎年金(国民年金)と障害補償年金(労災保険)の場合、障害厚生年金と障害基礎年金は100%支給されますが、障害補償年金は調整されてその73%のみが支給されることになります。


労災保険や年金手続き等お悩みがございましたら、愛知総合法律事務所にぜひご相談ください。

出向者と派遣労働者の労災保険

2019年12月23日
社会保険労務士 原田 聡


会社で同じように働いていても、正社員、パート、アルバイト、派遣労働者、出向者等いろいろな身分(立場)で労働をしています。労災保険はどのような身分であれ、労働基準法上の労働者であれば、業務中や通勤途中でケガ等をすれば、正社員労働者と同じように労災保険の給付を受けることができます。


正社員が労災事故が起きれば、その手続きは被災者の会社で手続きが取られますが、派遣労働者と出向者の場合は注意が必要です。
派遣労働者も出向者も、雇用されている会社とは別の会社で労働をしている点は同じなわけですが、労災事故が起こると、その対応の仕方が異なります。
出向者の場合、出向「先」の労災保険の適用を受けるのに対して、派遣労働者の場合は、派遣「元」の労災保険が適用されます。出向も派遣も似たように見えても、労災保険の適用については大きな違いがあるわけです。


労災保険の手続きについてご相談がございましたら、遠慮なさらずに愛知総合法律事務所までご相談ください。